字が書けない子どもたち
なんでこの子は字を書かないのだろう、と思うことが今までで何度もあった。
振り返ってみると、そのたびに「はやくかいてー」「さぼらないでー」といった声をかけている自分がいた。
僕はそれなりに字が書け、書くことに対して困らないで生きてきた。
だから、「字を書かない」のではなく、「字が書けない」子どもたちがいるということを認識していなかったのかもしれない。
現在、「書くこと」に抵抗のある子どもたちがすごく増えてきているように感じる。
書くことのつまづきとしては、
①文字を書く部分(文字を視写したり想起したりすることに困難がある)
②表記の仕方(熟語の順序が入れ替わったり、句読点が適切に打てなかったりする)
③文法(助詞の使い分けができない)
④作文(筋道の通った文章が書けない)
の4つの大別できる。
ここで、①についての体験をしてみてほしい。10分もかからないので紙とペンを用意してぜひ。
体験その1
この下にある文字を10秒見てください。その後、その文字を書き写してください。
てるひうに
おそらく、ほとんどが移すことができたはず。もう一つ同じ問題をやってみよう。
体験その2
この下にある文字を10秒見てください。その後、その文字を書き写してください。
كلوزه الاميرة
さて、これを完璧に書き写すことができただろうか。ちなみに僕はできなかった。
1問目はひらがなで書いてあるため、意味がよくわからなくても視覚的に文字を認識することができ、想起することができた。
しかし、2問目はアラビア語で書いてある。形で暗記するしかなく、とてもスムーズにかけたものではない。
「字が書けない」子どもたちはまさにこのアラビア語を書き写している状態なのだろう。それだけでもつらい状態なのに、さらに、今回アラビア語を左から書いた人は、書き順が違う!と叱られることまであるかもしれない。書き順以前の問題なことは明らかである。(ちなみにアラビア語で「くろーぜひめ」と書いてある)
また、書くことが遅い子どももいる。この疑似体験をするのはとても簡単。自分の利き手と逆の手で字を書いてみればいい。例えば、「天体望遠鏡」という字を3分間で10回。2回ほど書いたところで相当なストレスが溜まってきているはず。
子どもたちに過負荷をかけてしまっていることになる。
だからといってこれからの世の中でも「書くこと」の必要性はあるはず。
書かなければできるようにはならないのだから、「書かなくていいよ」という指導はなかなかできない。
何かいい案があれば教えてほしい…。
PS. 本当は今日はカビゴンの調整案について考察したかった。